2017年10月3日火曜日

【書籍紹介】 ヒトは「いじめ」をやめられない 中野 信子 (著)

本日は、 ”ヒトは「いじめ」をやめられない”  中野 信子 (著)

脳科学者、中野 信子さんの最新著書です。

さらっと、2,3時間で読めてしまう、約190ページの小学館の新書です。

どうして「いじめ」やめられないのか、その原因と対策はなど記載されていますが、それより、この書籍を読んで、つくづく考えてしまうのは「神経伝達物質」が影響する「無意識の行動」と「人間の脳」の多様性とです。 「無意識の行動」と「人間の脳」の多様性さえ理解されていないのに、「いじめ」は無くならないのです。

ヒトは「いじめ」をやめられない


--- 目 次 ---
第1章 いじめの快感
第1節 いじめのメカニズム

第2章 いじめに関わる脳内物質

第1節 オキシトシン
第2節 セロトニン
第3節 ドーパミン

第3章 いじめの傾向を脳科学で分析する

第1節 いじめられやすい人の特徴
第2節 いじめがより深刻化するとき
第3節 男女のいじめの違い
第4節 学校現場のいじめの現状

第4章 いじめの回避策
第1節 大人のいじめの回避策
第2節 子供のいじめの回避策


1.人間は、自分の意志だけで行動していないことがよくわかります。

「いじめ」について書かれていますが、最後に読み終わると、やはり、人間は、自分の意志だけで行動していないことがよくわかります。

1)「脳」が使うエネルギーの内訳です。

・意識活動に5%
・脳細胞の維持
・修復に20%
・無意識活動に75% 意識活動に、わずか5%しか使われていません?? 脳が消費するエネルギーは、身体全体の約20%


2)脳を支配している物質は、脳内ホルモン(オキシトシン、セロトニン、ドーパミン、テストロテン等)によって、人間の行動を無意識の中で支配しています。
例えば、オキシトシンは脳の奥で作られますが、子供を産むときに出てくるホルモンで、子宮を収縮される作用もあります。 絆ホルモンともいわれています。大切なものを守ろうとするホルモンでもありますが、強すぎると、他人を排除しようとする行動にもつながります。 また、思春期など、男性ホルモンのテストロテンなどは丁度いい、バランスで働かない時期もあります。
  

3)人工知能と決定的に違う処

ここが、人工知能と決定的に違う処で、もし、人工知能を人間に近づけようとすると、脳内ホルモンの様な作用を及ぼす、仕組みを「人工知能」の中に、組み込まないと、高貴で醜い人間に決して、近づけないでしょう。 この様に思うほど、人類が集団で生活する上で、必要な能力でもあり、邪悪な能力でもある特性を身に付けざるを得ない、天国と地獄の様な、相反する二面性を抱えてしまった生き物の様な気がします。

・妬み(ねたみ)、嫉み(そねみ)、僻み(ひがみ)の感情
・日本独特の村社会(タコツボ社会)からくる、激しい「同調圧力」の強さ

上記の事柄は、人工知能を作る上で、重要な「味付け」の部分に当たるでしょうね。
 

4)サルなどの動物の世界では、「いじめ」はなかなか起こらないようです。 
なぜなら、その集団に「ヒエラルキー」がしっかりしているからだそうです。 サルの世界でも、親サルのヒエラルキーが子供にも影響するので、もし上位の猿の子供をいじめると、必ず「仕返し」されるのでしょう。

かたや、人間社会では、サルより知能が発達していても、「いじめ」をやってしまうのは、教育のせいでしょうか? 「みんな平等だよ」が合言葉ですので、サルより知能が高くても「いじめ」合戦が始まります。

本当は、学校でも「みんな平等だよ」が建前だけれども、社会の中は「不平等が沢山あるんだよ」という事をちゃんと中学生のころから教えるべきです。

 

2.ニューロダイバーシティ(神経構造の多様性)です。 

ニューロは「ニューロン(神経細胞)」、ダイバーシティの意味は「多様性」

「人間、同じ「脳」を持った人間はいない」という事をどう認め合うのかだと思います。

「発達障害」、「人格障害」、「愛着障害」、「LGBT」など、生まれ持ってきたもの、劣悪な養育環境で、脳が壊れてしまったものなど、この「多様性」をどう考えるかです。

学校教育の中で、そろそろ、道徳教育も良いが、「脳科学」から分かってきたことも、ちゃんと教えてゆくべきです。 人間社会では、「道徳教育」だけでは、限界があります。
 

3.しかし、現状は、悲惨な状況です。

1)「最下層」の国民

新聞も雑誌も書籍も読まない、テレビ、ネットしか見ていない最下層の国民は、「脳」の仕組み、障害などについての知識が、学校でもやりませんので、何も身に付いていません。 現在では、本屋さんに行って、この関係の書籍を探せば、探さなくても、腐るほど出版されています。 なにも、「精神分析医」に成れって言っているのではありません。

例えば、発達障害(自閉症、広汎性発達障害、ADHD(注意欠陥・多動性障害)、LD(学習障害))、精神障害では無いがパーソナリティ障害(精神病質(サイコパス)解離性同一性障害、境界性人格障害、自己愛性人格障害)、愛着障害など。。。脳の機能障害に関する文献は、書店に行けば、山のように、腐るほど有ります。

ですので、書籍さえ、自腹で、年に1冊も読まない「最下層」の国民には何も知りわたっていないのです(富の最下層ではなく、頭の中身が最下層と云う意味)。 「無知は罪悪なり」と云う言葉がありますが、この言葉の意味を理解していない「最下層」の国民が、多勢に無勢を占めている。  


2)地球100周分以上遅れている人達が、まだまだ大勢いると云う現実

先日、幼稚園の先生たちが、職員室で、他人の事を「血液型」で、あれやこれやと、大きな声で分かったようなことを分析しているのだか、「いまどき! 血液型」で何が分かるの? だいたい、血液型で判断するのって日本人だけでしょう。。。。

「なに?B型は人の話を聞いていない」。。はあ?。。先生「頭のレベル低すぎ」、地球100周分以上遅れているのです。

幼稚園の先生でも、このレベルですので普通のお父さん、お母さんは、「発達障害」など理解できるレベルに達していないのです。

人の性格を未だに「血液型」で判断している国民ですので、脳機能の違いなど理解できるレベルにないのです。
 


3)脳の障害「発達障害」、「人格障害」、「愛着障害」、「LGBT」についても、ちゃんと、学校教育の現場で教えるべきです。

全てではないが、障害を背負った子供たちが、必ず存在するのですが、このような子供たちが、いじめられる傾向にあります。反対にいじめの加害者にもなります。

社会に出て、職場の中では、ちょっと、扱いに困ってしまいますが、少なくても、学校の中では、勉強の邪魔にならなければ、排除される対象では、断じて有りません。

発達障害、人格障害、愛着障害などの知識は、学校を卒業して社会の中で働いていても、「学習意欲」の低いレベルの大人たちには理解するのは難しいと思いますが、世の中には「脳」の配線が、生まれつき、または劣悪な生活環境の中で脳が変化することをちゃんと授業で教えるべきです。


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「記憶を思い出すための神経回路を発見」 脳の謎についての研究成果です。
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2017年8月24日木曜日

「記憶を思い出すための神経回路を発見」 脳の謎についての研究成果です。

2017年8月18日、
理化学研究所は、脳科学総合研究センターの利根川進センター長、ディラージ・ロイ大学院生らの共同研究チームが、マウス脳の海馬支脚を経由する神経回路が、記憶の想起に重要な役割を果たすことを発見したことを発表しました。

この成果は、米国の科学雑誌「Cell」8月24日号に掲載されるのに先立ち、18日のオンライン版(8月17日付)に掲載された。

脳の謎についての研究成果です。

自分自身の「脳」に興味のない人には、何のこっちゃ? と思うでしょうが、最近では、「人工知能」が、チェスや将棋の世界はもとより「囲碁」の世界でもプロに勝ったりと進化が進んでいますが、脳科学の分野も、この謎だらけの「脳」の色々なことが、研究が進み速いスピードで分かり始めています。

科学者の間でも、科学の最後のフロンティアは、「宇宙物理学」と「脳科学」と言われているほど、謎だらけの存在ですので、非常に興味が湧きます。

最近、優秀な「人工知能」が出てきていますが、「脳」の最大の謎「意識」はどこのあるのか?。これはどんなに優秀な人工知能でも、「意識」を持った人工知能は不可能でしょう。弱に云えば、「意識」を持てば、人工知能ではなくなります。 脳だけの人間です。

脳の構成部品として、前頭葉、前頭前野、側頭葉、海馬、偏桃体、大脳基底核など、色々な機能を有した部品がありますが、脳の仕組みが、徐々にですが解明されてきています。

今までの知識では、海馬は、大脳に記憶を格納するための「関所」に様な機能を持ってるのでは、という事までは分かってきています。






















「海馬」は、コンピューターで云えば、一時記憶装置の様なもので、1か月くらいしか記憶できません。同じ情報が何度も入力されると、海馬は、これは重要なんだと勘違?いして、大脳に記憶(情報)を転送します。 そして重要でない記憶は時間が経つと海馬から消えてしまいます。 ですので、試験前の一夜漬けの勉強は、1か月で忘れてしまいます(というより、記憶が消去されてしまう)。

しかし、遠い過去の事も覚えているとはいえ、脳細胞より小さな「分子レベル」でいえば、常に入れ替わっています(動的平衡)ので、楽しいこと、苦しいこと、いつまでも忘れないでいられるのは、記憶されているからではなく、ときどき思い出すからいつまでも覚えているだけの事かもしれません。 ですので、記憶など、操作をすると、幾らでも歪めることが可能です。

「海馬」の話に戻りますが、

海馬」は、この他、ロンドンのタクシー運転手は、海馬が発達していると言われています。何故なら、ロンドン中の道(地図)を詳しく覚えないと、タクシーの免許がもらえないそうです。

しかし、記憶を海馬から大脳に送って記憶することは、分かっていましたが、その記憶をどのように再生(起想)するのか、記憶は「エングラム細胞」と呼ばれる海馬の特定の細胞群に書き込まれ貯蔵され、そして再び活性化されることで思い出されるそうですが、記憶を思い出す神経回路で、それぞれがどのようなプロセスで起こるかは、明らかではありませんでした。

「海馬」は、いくつかの領域に分かれ、互いにつながって局所回路を形成していて、海馬の歯状回に入った情報は、そこからCA3CA1領域とそれぞれ伝達していき、嗅内皮質前頭前野などへ送られます。














特に背側CA1領域からは、
・直接「内側嗅内皮質」の第5層に情報を伝える直接経路(記憶の書き込み)
・「背側海馬支脚」を経由して「内側嗅内皮質」の第5層に情報を伝える間接経路(記憶の想起)

それぞれの経路が果たす役割はよく分かっていませんでしたが、海馬の2つの局所回路が役割を分担していました。研究した結果、直接経路は記憶の書き込みに、間接経路は記憶の想起に、それぞれ重要であることが分かったようです。

今回の実験では、恐怖の情動反応を使って、マウスに電気ショックを与えて実験していますが、「恐怖」と云えば、「偏桃体」を取ってしまうと恐怖が無くなると言われている部品である「偏桃体」も重要な部位なのですが、この実験では「偏桃体」の仕組みにには触れられていませんでしたが、「恐怖」の記憶を再生する時に「偏桃体」からの入力信号も関係がある様な気がします。


補足説明

■海馬、海馬支脚、歯状回、CA3、CA1
記憶の書き込み、貯蔵、想起に重要な役割を果たす脳領域である海馬は、側頭葉に位置する。
海馬はさらにいくつか領域に分かれており、お互いに結合して局所回路を形成している。海馬への入力は歯状回(Dentate gyrus)に入り、CA3、CA1領域を通って、海馬支脚(Subiculum)や嗅内皮質(Enthorhinal cortex)につながっている。


■エングラム細胞
ヒトや動物の脳内ある記憶の痕跡を支える細胞。
この神経細胞の活動パターンやそのつながりによって、記憶が維持されていると考えられている。


■嗅内皮質
大脳皮質の一部で側頭葉の内側下部に位置する。
海馬へ入力する層と、海馬からの出力を受ける層がある。



・参照サイト:理化学研究所
http://www.riken.jp/pr/press/2017/20170818_2/


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人間の「脳」に関する面白い記事を見つけましたので、ちょっと紹介します。

夏休み、どこにも、お出かけしない人のための暇つぶし、「脳」に関する知識が深まる情報です。
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脳を構造部位に分類し、立体表示する無償アプリ「3D Brain」がすごい!!

2017年5月21日日曜日

【書籍紹介】『隠れアスペルガーという才能(ベスト新書)』 著者:吉濱ツトム

本日の書籍紹介は、『隠れアスペルガーという才能(ベスト新書)』 著者:吉濱ツトム




-- 目 次 --
序章 なぜか「生きづらい」君へ
第1章 「隠れアスペ」はなぜ気づかれないのか?
第2章 君がまだ知らない「アスペルガーという才能」
第3章 君の生きづらさは、「隠れアスペ」のせいだった!
第4章 君の「隠れアスペ」は、必ず克服できる!


何だか、書籍の紹介と言うより、「発達障害」を理解する上で、多分一番分かりずらい、「アスペルガー症候群」女子の特性について、自分のメモの様になってしまいました。

なぜ、この話題で記載しようとしたかと云えば、私の知っている女性で、そうだろうと思う女子が、3人ほどいます。

その中でも、一番分かりずらい1人の女性を例を取り上げてみます。

男性なら、ほぼ分かるようになってきていますが、女性の場合は、男性と同じ特徴を持っているか問われると、女性の場合、男性よりコミニュケーション能力が高いため、すぐ気づくのが難しいのですが、ある特徴を持っています。

私の場合、お客様の会社へ訪問して、仕事をしている職業柄、長い時間、色々な人間たちに出会い、付き合いが続く場合が多いので、組織の中で、ちょっと浮いている人間を観察することができてしまい、外部の人間の立場でみますので、なおさら、おかしいな? と言う、違和感が沸いてきますが、周りの人間たちが気が付かない為、職能、人員配置に問題が起きている場合が有ります。このような人たちは、障害を理解して、上手く活用すれば、能力を発揮する場合が有ります。

例として
私の訪問している、ある組織で、たまたま、管理者(職場の長)が、人を管理する役割を職能と任務として担って仕事をしてきたにも関わらず、再就職して、職場の長(管理者)としてちゃんと部下を管理できないのでしょう(何が原因で、管理できないのかは不明)。

そうすると、元々、「アスペルガー症候群」の兆候を持つ、すぐ下の女性の部下が、好き勝手なことを始めてしまいます。この女性は、元々、仕事のできない人間ではなく、できる方の人間なのですが、自分より下の部下を業務的にちゃんと使いこなせない、管理できないのでしょう。結果、自分で抱え込んでしまい、結局、中途半端になり、しなくてはならない、組織のルールを無視して、勝手に運営してしまう状況に陥っている。職場の長(管理者)が何も言わない事良いことに、野放しになっているのも一つの要因ではないか。。。 ですので、ビクビクしながらも「暴走」している感じが見て取れます。 元々、空気が読めないから、話をしている時も、ビクビクしている様子、言動が分かります。

彼女とは、その組織に私が出入りして、知り合ってから、10年近く経つのですが。。。。未だに、「3日」前に知り合った女性と同じです。 普通、何年も訪問して、顔見知りになれば、仮に顔がかわいくなくても「愛着」や「親しみ」などが、沸くのが人間の感情ですが、彼女の場合は、ほぼ、それが「皆無」です。

つい最近でも、男の子でも、私に対して決して言わない「クソ生意気」なことを「空気を読まず」平気で言い放ちますので、完璧「アスペルガー姉ちゃん」だなと思います。

普通の女性では考えられない「言動」をしますが、決して、性格が悪いのではないと思います。 脳の配線、情報の伝達の具合が、普通の女性と微妙の違うのです。

そして、最近は、この様に「脳」に障害を抱えている事が分かってきましたので、私の場合、気が短いのですが、腹を立てることも無く、訪問している時も、逆に、どんな脳の特性をしているか、よーく観察する様にしています。

これは、経験的にですが、発達障害の兆候ではないか?、と感じるときは、長年お付き合いがあったとしても「未だに、3日前に知り合った」感がある場合、特に「アスペルガー症候群」の方が多い様に思います。 「心」が触れ合うことは、ほぼ無いでしょう。

もう一つ、確かなのは、この様な子は、大抵、独り暮らしはできません。ほぼ、いくつになっても、自立できず、親元から通っています。本人的には、この状態に何の違和感も持っていないでしょう。 本当は、両親と会って話せば、大抵の場合、遺伝していますので、どんな両親か分かれば、だいたい発達障害かどうか分かると思います。 こんな子は、配置換えをして、ちゃんと人を使える上司の元で使えば、元々、優秀ですので機能すると思いますが、部下を使うような、人の管理をするような仕事は、向いていないので、させなければいいだけです。 もともと「劇団ひとり」なんですから、そこを理解する必要があると思います。

ちょっと、悪い例を挙げてしまいましたが、「発達障害」の特性を生かして、社会の中で、活躍している方も沢山います。
アスペルガー症候群は、精神科を受診すると「アスペルガー症候群である」と診断が下される。しかし、症状が比較的弱いために、アスペルガーの診断が下されず、周囲からも「ちょっと変わった人」としか見なされない人たちがいる。 その人たちを、本書は「隠れアスペルガー」と呼んでいる。人数にすると、日本では真性アスペルガー(本書では「隠れ」に対してそう呼ぶ)が90~100人に1人いるのに対し、隠れアスペルガーは40~50人に1人。発達障害カウンセラーとしてアスペルガーを診てきた著者の体感では20人に1人はいるのでは、と推測している。

-- 目 次 --
1.アスペルガー症候群 (DSM-5:「自閉スペクトラム症(ASD)」)とは

2.「隠れアスペルガー」と言うより、女性のアスペルガー症候群の特徴を上げれば
1)コミュニケーション能力はある程度あるが。。。
2)アスペルガー症候群の女性の場合、男性的な物事の考え方をしてしまうのも特徴の1つです。
3)感覚が過敏すぎる・鈍感すぎると云う、一見、正反対に見える性質を持ち合わせています。
4)小さい時の特徴としては、他の子と一緒に「ごっこ遊び」ができない。
5)脳の記憶の処理方法が特殊で、「トラウマ」経験を抱え込みやすい。

3.同じ発達障害でも、アスペルガー症候群とADHDは、ある共通の部分もあります。

同じ、発達障害でもアスペルガー症候群とADHDの女性を見分けるポイント
1)興味の範囲で云えば、
2)会話、コミュニケーション能力
3)自分の特性をどう感じているか
4)規則正しさ

1.アスペルガー症候群 (DSM-5:「自閉スペクトラム症(ASD)」)とは


発達障害と呼ばれている症状は、













・注意欠陥・多動性障害(ADHD)
・自閉症スペクトラム症(ASD)(アスペルガー症候群)
・自閉症 ・学習障害(LD) などが定義されています。

今は、「自閉スペクトラム症(ASD)」というのですが、アスペルガーと云った方が、この言葉の方が認知されていますので、「アスペルガー症候群」という言葉を使います。

文部科学省によるとアスペルガー症候群とは、「知的発達の遅れを伴わず、かつ自閉症の特徴のうち言葉の発達の遅れを伴わないもの」とされています。高機能自閉症と同じく、広汎性発達障害のひとつに分類されていて、「自閉症スペクトラム」の一種と分類されています。

アスペルガー症候群の原因は生まれつき症状がある先天性のものと、生まれたときには障害がなかったものの事故などの外傷によって、まれに発症する後天性のものとがあります。

大脳辺縁系、特に扁桃体・小脳の異常、セロトニン系の機能障害、ミラーニューロンの機能障害、オキシトシンの障害、神経接合不全などが、わかってきていますが、先天性のものについては原因がまだよく分かっておらず、現時点では遺伝的な要因が複雑に絡み合って起こる「脳機能の障害」という説が一般的です。

初めに、断っておきますが、
「自閉スペクトラム症」は、普通の人から重い人まで、連続性(スペクトラム)を持っていますので、男性・女性を問わず、「アスペルガー症候群」でない人でも、いくつかの特徴が当てはまることは十分にあるので、素人が判断できない部分もあります。

大きな特徴として、「空気が読めない」とか「オタク気質」とか「理系」といった特徴を持つ男性を思い浮かべる人が、少し、この症状を知っている方なら、分かるでしょう。

しかし、女性の場合は、同じ「アスペルガー症候群」と云っても、現われる特徴がかなり異なっていて、本人も「アスペルガー症候群」であることがわからないまま、さまざまな苦労を抱えていることが明らかになってきています。  



2.「隠れアスペルガー」と言うより、女性のアスペルガー症候群の特徴を上げれば

まず、女性の場合、「アスペルガー症候群」に見えない、感じない場合があり、見過ごされることがあります。

男性の場合は、3歳ころから特徴が目立ち始めますが、アスペルガー症候群の女性は、男性とは違って、ある程度の社会性があり、女性特有のコミュニケーション能力もあり、子供の頃はアスペルガー症候群だと疑われることはありません。

アスペルガー症候群の女性の場合、コミュニケーション能力もありと記載しましたが、しかし、よく観察すると特徴があります。


1)コミュニケーション能力はある程度あるが。。。

まず、「ガールズトーク」が苦手で、何気ない世間話やおしゃべりが得意ではなく、女性同士が会話する時の様に、話がすぐに別の話に飛んでしまうような会話だと、話のペースについていけないこともあります。

ですので、こだわりが強く変化が苦手で、融通が利かず、この「こだわり」が強いことは、女性同士の目的のないおしゃべりに参加しにくい原因の一つになっている。
 

 

2)アスペルガー症候群の女性の場合、男性的な物事の考え方をしてしまうのも特徴の1つです。

女性に対して、すぐ、「マウンティング」してくる女子も居ますが、アスペルガー症候群の女性の場合は、平気で、男性に対しても、男と同じように優位に立とうと「マウンティング」してきます。 ちょっと可愛げが無いのですが、分かっていれば腹も立ちませんが。。。。

言葉使いではなく、何か言葉を発した時の返ってくる話し方の感覚が、決して女子の感覚ではなく、男子の様なんです。 恋愛をするときも、「女子力」がほぼ無いし、決して自分勝手な思いだけで、駆け引きができない、へたくそで、まあ、彼氏ができない方が殆どです。

ただでさえ、男性と知り合う機会のあまりない職場ですので、強制的に「お見合い」、「結婚」させないと、一生独身でしょうね。  

 

3)感覚が過敏すぎる・鈍感すぎると云う、一見、正反対に見える性質を持ち合わせています。

視覚や聴覚は過敏すぎるほど病的などで、普段生活をしている中で疲労も蓄積しますが、一方である種の感覚が鈍感すぎて、体調不良を起こす原因にもなってしまいます。

女性の場合は、思春期の体の変化に戸惑いを覚え、強いストレスを感じて体調を壊してしまうこともあります。特に、学校(小・中学校)へ行くようになると、原因不明の体調不良(睡眠障害など)になりやすいと云われています。

音や光など、視聴覚が敏感に反応する性質も有しています。


4)小さい時の特徴としては、他の子と一緒に「ごっこ遊び」ができない。

想像力豊かなアスペルガー症候群の人の中には、自分だけの安心できる「マイワールド」を持っている場合があり、そこが行き過ぎていると、解離性同一性障害のような複数の人格を抱え持ってしまうこともあるようです。  


5)脳の記憶の処理方法が特殊で、「トラウマ」経験を抱え込みやすい。

外部からの刺激・情報が、ほとんど加工されずに脳にダイレクトに飛び込んでくるのと同様、保存された記憶も加工されないまま保持されるのが原因かもしれません。

女子の場合、愛していた男にフラれてしまった場合も、相当、堪えてしまうことが多いですが、そもそも特性から、男性と恋愛関係になることも、少ないでしょう。

「男」脳をしていますので、そもそも、そんな関係になること自体、無いとは言えないが、珍しいでしょう。

もっとはっきり言えば、「男いない」。。。でも「居ないことに寂しさは」感は、皆無。 何故なら、「マイワールド」がありますので。。。。  



3.同じ発達障害でも、アスペルガー症候群とADHDは、ある共通の部分もあります。

これは、女性・男性関係なく、アスペルガー症候群、ADHDに関係なく、1年、3年、5年、10年付き合っていても、なんて言って表現すればいいのか、迷うのですが、基本的に「愛着を感じない」、「親しくならない」相手です。

私が、相手が「ちょっとおかしいなこの人」と感じたとき、一番、感覚を鋭くして、観察する部分です。

何年経っても、3日前に知り合った人と同じような、感覚です。  



4.同じ、発達障害でもアスペルガー症候群とADHDの女性を見分けるポイント


そして、アスペルガー症候群か? ADHDか? 脳の性質が非常に似ている部分もありますが、見分けるためのポイントもいくつかありますので、判断の材料にします。

アスペルガー症候群の場合は、「高機能自閉症」と云われるように、ほぼ「知能」が高いが、ADHDの場合「衝動性」や「不注意」からか、あまり「知能」が高いとは感じることが少ない様に思います。  


1)興味の範囲で云えば、

アスペルガー症候群の女性は、
「こだわり」が強く、変化を嫌うため、興味の範囲が狭く、興味のない事には全く関心が無い、でも特定のことに、男性に似ていてマニアックな面を持っています。

ADHDの女性は、

「新しい奇抜な部分の探求心」が強く、注意が散漫ですので、次々と新しいことに目移りするので、興味の幅がとても、浅く、広い傾向があります。  


2)会話、コミュニケーション能力

アスペルガー症候群の女性は、
「ガールズトーク」についていけない理由の一つは、受け答えの反応が人より遅かったり、興味や関心が全く無かったりして、その会話の話題やペースに付いていけないことです。

興味のない話は、ほぼ、全く、聞いていない(寝ているレベルと同じで、覚醒していない)。 ですので、2人で会話している時など、興味のある話を見つけるのが大変で、話題をころころ変えるのも気を使います。。分かりやすく云えば、ちょっと「メンドクサイ」女性ですかね。

ADHDの女性は、
女性の場合、同性の間で浮いてしまうのは、思考の多動性のため、一人で一方的に話しすぎたり、衝動的に会話を横取りししたり、割り込んだり、空気を読めず、身勝手に思われる。

昨日言っていた事と、今日言っている事が、全然違うことが、普通です。


3)自分の特性をどう感じているか


アスペルガー症候群の女性は、

いじめられたり、仲間はずれにされたりしても、特に子どものころは理由がわからず、おかしいのはまわりのほうだと感じることが多いようです。

ADHDの女性は、
悪いとはわかっているが、生まれ持った「衝動性」や「不注意」から余計なことを言ったりしてしまうので、自分がまわりから疎まれやすい理由がわかり、自分自身おかしいと思って、自己嫌悪になりがちです。 ただ、脳の特性「衝動性」や「不注意」が勝ってしまうのです。  


4)規則正しさ

アスペルガー症候群の女性は、
変化が、とても苦手なため、同じ規則やルールに沿った生活を続けることを好みます。

ADHDの女性は

多動、衝動性がありますので、逆に変化の無さに絶えられず、次々と新しいことを始めたり、予定をつめ込んだりしすぎるので、規則正しい生活が苦手ですし、ゴミや家の物をかたずけられない大雑把な人、適当な人と思われがちです。  

こうしてみると、
アスペルガー症候群の女性
は、「ガールズトーク」についていけないのですが、男の様な脳をしている様に見えるだけなので、表面上あまり、他人にきずかれることは無いのです。

むしろ、ADHDの女性のほうが、「女子力」が最低で、人間的に「だらしない」要素や「しょうもない」要素を持っていますので、分かりやすいかもしれません。
 

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NHKが、ついに「発達障害」を1年間特集する。
面白い記事を見つけました。。「発達障害の夫、カサンドラな妻」です。


 

2017年3月18日土曜日

【書籍紹介】 他人を平気で振り回す迷惑な人たち

本日の書籍紹介は、「他人を平気で振り回す迷惑な人たち」 片田珠美 著

この先生の書籍は、初めて読みましたが、精神科の先生にしては、岡田先生の様に医学的な難しい病名をあまり使わずに、具体な人物例を使いまわしながら説明されていて、最初は、あれ?と思いましたが、「脳」の障害ですので病名までは避けていますが、関連性が十分にあり、なるほどと思えるところが多々あります。

日本の社会の至る所、職場、家族、友人、ママ友、SNS等で、この様な厄介な脳を持った人間が居て問題が発生していますが、必ず、被害者がいて、犯罪にまで行かない為か、いつも被害者だけが、精神的にも大きな被害を受けています。

頭(脳)の配線の不具合、つまり「発達障害」、「人格(パーソナリティ)障害」、「愛着障害」の3つをちゃんと認識していると、被害に合う確率も少なくなると思います。



■「他人を平気で振り回す迷惑な人たち


-- 目 次 --
第1章 他人を平気で振り回す人たち
第2章 誰でもちょっとだけ振り回す人たちになり得る
第3章 「他人を平気で振り回す人」の精神構造
第4章 振り回されやすい人の責任
第5章 もう振り回されないための処方箋
---------------------------------------------------------------
25万部ベストセラー『他人を攻撃せずにはいられない人』の著者でもあります。
 

脳の障害には、大きく分けると、「発達障害」、「人格(パーソナリティ)障害」、「愛着障害」の3つがあります(これ以外にも有るが。。。)。

その中でも、人格(パーソナリティ)障害に分類されるところの「自己愛性パーソナリティ障害」の人間が、精神的に弱い人間を「餌食」にするやり方は、サイコパス(反社会性人格障害)にも似ている人格をしています。

著者は「サイコパス」と云っていませんが、「自己愛性パーソナリティ障害」の脳は、実は、「サイコパス(反社会性人格障害)」の脳の特性に似ている部分がかなりあります。

著者は、「振り回す」と表現していますが、まさに「操る」と云った方が正確ではないでしょうか。

娘を支配する母親(毒母)も、まさにこの典型です。

どう対処して行けばよいか。。。まで記載されていますが、いつもやられる立場の側の人たちの精神構造を変えることは、本人が、「戦う心」を持たないと無理でしょうね。

そう、相手(加害者)を変えることは不可能に近いですが、被害者もまた、自分の心を変えるのは、口では簡単に言えますが、難しいでしょう。

相手は、自分の弱さに付け込んできますので、払いのけるだけの「勇気」がないとできないのです。 さらに言えば、「弱さに付け込まれている」と云う自覚さえも、無い場合が有ります。

職場
職場にも、頭の配線がおかしい上司、部下が沢山そろっています。 特に上司がおかしい場合、経験上ですが「類は友を呼ぶ」では無いですが、不思議に同じような「頭の配線」をした社員の割合が多くなる傾向があります(実は、採用時に問題が有るのですが)。

この様な組織では、一見、能力を評価するような査定をしている振りをしているだけで、仕事の能力より、判断基準は、自分に逆らう奴かどうかだけで評価しています。
ですので、コロニーを形成する「アリ」や「蜂」の世界の様に、働かない、役に立たない社員が、何人も、毎日、会社に遊びに来ています。。。。

家族
最近、こんな言葉が有るそうです。 「家庭内管理職夫」。。

夫が、定年退職後、家庭でこうなるようです。
家庭内でも、会社の管理職を偉そうにするため、「嫁」に嫌われます。

長年、家族の為に働いてきた、まじめな男(実はろくでもないのだが。。)が、このように自分の脳を環境の変化に対応させることができないのか、勘違いしたままの状態が続くのです。

せっかく、長年、家族の為に「勤め上げても」。。。最後、クズと云われてしまうこの現実。

ママ友
わざわざ記載しなくても、分かるでしょうから。。。クズの事例は紹介しません。

SNS
これも、わざわざ記載しなくても、分かるでしょうから。。。クズの集まり、「妬み、嫉み、ヒガミ」、「幸せ自慢」が、渦巻くカオスな世界。



--関連書籍--

 

 


※一見、普通の「母親(毒母)」が、娘を苦しめている場合が結構あります。
幼少期の「母子一体感」の抜けない娘も居ますが、母親の場合は最悪です。私の幸せは娘の幸せと思い込んでいる「狂気」が、とても「哀れ」です。

 

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